いきたあかし

私の生きた証がこのブログ。現役ソムリエ、フレンチシェフ

天国に贈るラブレター【19.3.11】

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君はいつも寂しげに笑っていた。

またその笑顔が見たいんだ。

もう会えないのはわかってる。けど。

 

  

君にもう会えないことを知ったのは、1ヶ月程前、Facebookの投稿を見た時だった。

君は空の上の遠い遠い国に、1人で旅立った。

 

いや、旅立った。なんて、誤魔化すのは良くないね。

私は、まだ受け止められていないんだ。

旅に出たのなら、いつか帰ってくるって、思いたいんだよ。

 

でも、本当はわかってる。

君は、死んだんだ。

事故でもなく病気でもなく、自ら。

 

 

 

 

 

 

私が君と初めて会ったのは、高校生の頃。今からもう5年以上も前。

君は私の高校から、電車で1時間離れたところにある、少し田舎の高校に通っていた。

ある日、私達は他校同士の部活の交流会で知り合ったんだ。

 

よく笑う明るい子。私はそう感じたよ。

でも、その笑顔にどこか寂しさがあったんだ。

私は君に一瞬で惹かれた。

物憂げな君の表情の裏側を知りたかった。

私はすぐに話しかけた。

同じ部活の話で盛り上がったね。

すごく楽しい時間だった。君は誰とでもすぐに打ち解けられる、優しさに溢れていた。

 

 

部活の交流会のあとも、メールで連絡を取り合った。

私が君と2人きりで会ったのは、それからすぐ1ヶ月後のこと。

電車で1時間という距離は、高校生の私にとってはとても離れているように思えた。

でも、会いに行った。デート?胸が高鳴った。

 

 

 

1ヶ月ぶりに会って、、恥ずかしかったね。

正直、私は口下手だし、話が続かなかった。ごめんね。

その日は2人で映画を観たんだ。

なんの映画だったかな、もう思い出せないや。

私の隣にいる、君という存在が、ただただ気になって仕方なかったんだよ。

 

12時過ぎ。お昼ご飯。

パスタを頼んだんだけど、注文したのと違うものが来て、2人で笑った。でも美味しかった。

そして、私達は部活の話で盛り上がった。

練習に困っていることや、部内の人間関係があまり上手くいっていないこと。話してくれたね。でもずっと笑顔でいてくれた。

優しくて、寂しい笑顔。

私はもっと君に惹き込まれた。

 

 

そのあと、サーティーワンでアイスを食べた。

食べすぎだって?育ち盛り。だよね。笑

高校生の私達にとっては、サーティーワンは立派なデザートだった。

君が食べたのは、ラブポーションなんとか、だったかな。すごい名前だ。

一口もらった。舌がとろけるかと思った。とてもとても甘かった。

 

 

「手相を見てあげる!」突然君は言った。

私は占いは信じないタイプなんだけど、、。

 

君は、私の右手を取ったんだ。

ひんやり、冷たかった。

君はしばらく私の手を握ったまま見つめていた。

でも、君は手相なんて、見てなかった。

2人何も言わない、静かな時間が流れた。

 

そして君の冷たい手が、私のぬくもりで少しずつ温まっていくんだ。

私はその日、その握られた手を最後まで離さなかった。

あのとき、私の手を取ってくれてありがとう。

君の体温と私の体温が近づいて、心まで近づけた気がした。本当はどうか、わからないけれど。

 

 

 

夕暮れ。

手を繋いだままま、私達は帰りのバス停に向かった。

「最後に、いいとこ教えてあげる!」って君は私の手を引っ張って、バス停の裏、建物と建物の間の小道に入っていった。

道を抜けると、そこは、埠頭だった。

夕闇の中、怪しく照らされる波しぶきが綺麗だった。

「もう少し話さない?」君は埠頭に腰掛けた。

 

あれは11月くらいだったかな。座って話をしているうちに寒くて、震えてきちゃったんだ。

 

 

私達は隣に座ったまま、肩を寄せた。

手だけじゃない。君の体温を感じた。

 

アイスの甘い味がした。優しいキスだった。

 

 

 

 

 

 

あれから、何ヶ月も連絡を取り合っていたんだけど、結局、もう二度と会うことはなかった。

私も君も、部活や受験に忙しくて、タイミングが合わないまま、自然にメールが減っていったんだ。

 

 

私の勝手な憶測なんだけど、、

きっと、本当にきっとなんだけど、

 

私と君は、きっと、いい恋人になれた。

 

 

君と私を隔てたものは、学校の距離、受験。。

「そんなの些細な事だ。」なんて、今になって思うんだよ。

 

 

あの日から私の心の片隅にはいつも君がいた。

私は君のことをわかっているつもりでいた。

 

でも、本当は、何もわかっていなかった。

 

その寂しげな笑顔の本当の意味は、ごめん、今もわからないままだよ。

あの日私と君の埠頭での別れから、5年間。

あれから君と交わらない人生を送った私には、君を死に追いやった理由なんて、知る由も無い。

 

あの埠頭で、私が君に

「好き」なんて、

たった2文字を言えていたら。

なにか変わっていたのかな。

 

私が君の居場所になれていたら、

今も君は私のそばに寄り添っていたのかな。

 

私はもっと君を知りたいんだよ。

君の笑顔を1番近くで見ていたいんだよ。

 

もう会えない、なんて言わないでよ。

言うことすらできないの。ねえ。辛いよ。

 

 

もちろん、今更こんなこと書いたって、

君には絶対に伝わらない。

 

何度も書いて、下書きに戻して。書いて。を繰り返したんだ。

 

でもね、私はもう大切なものを失いたくないんだ。

失うくらいなら、出会いたくもなかった。

最初からひとりぼっちの方がマシなんだ。

 

 

 

今日はね、今から8年前に、たくさんの人が、たくさんの大切なものを失くした日なんだ。

君も知っているよね。あの震災のこと。

 

今日は日本中があの時失ったものを思い出す、特別な日なんだ。

それは暗い記憶だけど、忘れちゃいけない。

 

私は、君を失ったことを乗り越えないと、前に進めないんだ。わかってる。

 

 

 

君の姿はもう見えないけど、

私のそばにいてください。

私の大切な人になってくれてありがとう。

私に大切なことを教えてくれてありがとう。

一緒にいた時間はほんの少しだったけど、

君のこと、好きだった。好きだよ。

ごめんね、ありがとう。

 

 

19.3.11